この日は、先日の相田さんに続き、中之条町に移住したアーティスト・佐藤令奈さんの取材日だった。中之条ビエンナーレにも何度か出展をし、油彩を使った細やかな色合いの幼子の絵は、中之条ビエンナーレファンの方ならばすぐにピンとくるかもしれない。
話を伺っていて面白いなと思ったのは、中之条町への移住前にもすでに自分のスタイルをある程度確立しアーティストとしても認められていた佐藤さんが(その話は持ち出さなかったがテレビ番組でも取り上げられている)、中之条ビエンナーレで偶然耳にした「疎開」というキーワードをきっかけにそれをリサーチして作品にも取り入れている、ということだった。毎作品ごとに社会的なテーマやリサーチをして作品を作る現代アートの作家は多いと思うが、確立した(ように僕などからは見える)絵描きがテーマを持つということは勇気のある行為であるように思えた(もちろん、それは彼女の中では必然な行為だったわけだが)。
今回は、佐藤さんが取材をするところを取材する、という体験もさせていただいた。さて、いちライターとしてそれら一連をどう書ききるか。