冬支度 これ全部一人でやる
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ここが通称「下の畑」 もちろんここも一人でやる
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赤城牛のすね肉と里芋に味噌と酒粕を加えて煮込んだひとしな
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同居人!?はひと休み
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食べればわかるその違い
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じゃが芋は、皮をむいて放っておいても色が変わらない。小松菜は、日が経つと腐らずにしおれる。時には花を咲かすことも。「(採った後も)生きてるからじゃなぁい?」事も無げにそう言う。
「うちはね、時間をかけてゆっくり育てるの。そうするとね、土の中の栄養分をゆっくりと吸収して消化できるでしょ。」たしかにここの野菜はエグ味が少ない。嫌味がない、と言ってもいいかもしれない。
赤城山の南面、旧粕川村の中ノ沢で農業を営む永田さんは、およそ20年前に東京からこの地にやってきた。きっかけは、「自然の中で子育てをしたい」とい う思いだったという。3人の子供たちは赤城山のおいしい空気のおかげで大きくなり、東京の下町育ちの永田さんも、今ではすっかり、粕川の百姓、になった。
永田さんは野菜作りについて説明するとき、よく、「窒素過多」という言葉を使う。「窒素をたくさんやればね、野菜は早く大きくなる。でもおいしくないでしょ。それにすぐ腐るし。」何ごとにも手間を惜しまない。彼女の話はどうも、教育論のように聞える時がある。
その時その時旬のものを。薬は使わない。そんな風にやってきて、数年前から一日一組料理を出してお客さんも迎えている。「私の野菜を楽しみにしている人がいるから続けているのよ。」
あたり前の贅沢が、ここにはある。
(文: 堀澤 宏之) |