迫力満点の面構え
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ズラリ並んだ佐藤けいの器 あれも欲しい これも欲しい
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1300度の世界 芸術がここから生まれる
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来世は音楽家?
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普段はとても気さくな方
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はたしてどれくらいの日本人が、‘須恵器’というヤキモノを生で見たことがあるのだろうか。
先日、生まれてはじめて実物にお目にかかる機会があった。見てすぐにわかるのは、焼き締めだということ。釉が使われていないからである。けれども、備前や信楽のように赤茶色でもない。つまりこれが、青黒い。作者の佐藤さんはこれを、「石に近い」と言う。
須恵器が他の焼き物と違うのは、最後に‘燻す’という工程があるかららしい。燻すことで酸欠状態が生まれ、その時に色が変わり、より硬くなる。これは、マグマが冷却されて石になる、まさにその過程に近いのだとか。
「石は長い時間をかけて風化して粘土になる。だから自分の仕事は、その粘土をまた石に戻してやることだと思っている。」なんだかかっこいい。
須恵器と聞くと歴史の教科書に出てくるくらいだから、あまり垢抜けないものかと思っていた。けれど、佐藤さんの作品はどれも洗練されていて、品がある。何より料理栄えがしそうで、しかも頑丈なのである。
そういえば、少し前にお隣中国で13億円もする‘石’が話題になっていた。なんでも、長いあいだ湖の底に沈んでいた石が魚にそっくりなんだとか。これも石への浪漫なのかもしれないが、ずいぶんと印象が違う。
(文: 堀澤 宏之) |