 こうして見ると普通である
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 歌いだしたらすごい
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 アルバム「public」 Raiji&chipsの、アイノカタチ
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 どこかで会えるかも
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 演奏後、何を思う
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彼はミュージシャンである。実は私は音楽に疎い。ライブなどまったく縁遠いし、生活の中に最新ヒットチャートのかけらも見当たらない。ただ、それでもなんだかこの人はわかる、ということはあると思う。
人に興味を持つにはきっかけがあるが、その人の肩書きや所有物からそれが始まることは多い。社長という身分がたまらない、とか、あの人の所持金が好き、 とか。実に私もそういう入り方をしていることに気づくのであるが、そんな時は変に色眼鏡で見ることになるので往々にして関係はいびつになる。
小林頼司さんとは、居酒屋の座敷で出会った。私より10歳年下の彼は、とてもシャイで、ぶっきらぼうで、デリケートだった。私は今まで、シャイでぶっきらぼうでデリケートな人と話が合わなかったためしがない。程なくして打ち解けた。
彼はパブリックな人である。彼は、というよりは、人は、パブリックなんだと考えている人が彼、ということかもしれない。パブリックの反対がプライベート だが、プライベートとは「本当」で、パブリックと聞くと「どうも自分が無くて嘘っぽい」というニュアンスがついてまわる。「でもそんなことないよ」という のが、彼のパブリックであるような気がする。彼と話していると、「相手を存在させたい」という強い気持ちを感じるからである。
始めてライブを見た。やっぱり彼は、パブリックな人だった。Raiji&chipsは、とんでもなく優しかった。
(文: 堀澤 宏之) |