ビールはここか
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オシボリはここ
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洒落の効いた品書き この方の弟はあの有名漫才師
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遠くにいてもすぐ見つかる
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客じゃありません店主です
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筆者は34才。マスターとは親子程の年の差。
ガラガラガラ。「何しに来たんだや。」いつもこの通り。何度行っても、である。
この店のしきたりは、席につく前に自分でオシボリを持ってくること。そういう店である。だからといってお客さんが気を使っているという風でもない。これもマスター一流の接客なのかもしれない。
「町内でゴミ拾いしてジュースやるなんつったって、オラァいらねぇよ。飲みたきゃ自分で買うって。店から家までの間にゴミが落ちてりゃあ、誰に言われなくたって拾うよ。」そういう人である。
生粋の上州男児。無類のうどん好き。「自分で作るんだけどさぁ、アレは次の日のがうまいんだよなぁ。コシだとか何だとかは関係ねぇ。ダシが染みたやつが 好きなんだ。」駅前の立喰いうどんで、「できるだけ長くお湯の中に浸けといてくれや」なんて注文をつけるのは、おそらくこの人くらいだろう。わがままとい えばわがままである。「まあ、おふくろの作ったうどんにはかなわねぇんだけどさぁ。」でもそんな風に言われると、できるだけ長くお湯の中に浸けておいてあ げたくもなるか。
メニューも遊び心にあふれている。けっして気取らない。口を開けばもれなく後ろから毒がついてくるが、どこか優しさを隠せない、そんな方である。
こういう店は長くやっていてほしい、そんな店である。
(文: 堀澤 宏之) |