【名店のしきたり】 第2回 その峠、旅人を唸らせる一撃必殺のうどんアリ(上野村)

更新日:2007年06月22日


テーブル席 冬はコタツに変身

峠の端にひっそりと立つ 伝説のうどん屋

藤屋名物 『飛び出す天ぷら』 ちなみにこれで普通盛り

最少にして充実のメニュー

お茶とお新香付き

麺はごんぶとてんこ盛り、その上に辛うじて落ちない様に掴っている野菜天ぷらが二つ、木製特大ドンブリの中でひしめき合っている。しかし、僕が注文したのは大盛りでは無く普通のうどん。
特大サイズが普通サイズ。それが、ココ『藤屋』のうどんなのだ。
店に入って「うどん」と言えば、出て来るのはもちろん「野菜天ぷら手打ちうどん500円」。うどんの種類はこれだけ。紛れも無く一撃必殺のうどんなのである。
「最近は肩が引き千切れそうだぁ」。「ニカッ」と笑いながら、ポロリとこぼすおやっさん。話しを聞いてみると、頑なに手打ちを貫くおやっさん。長年に渡るうどんとの闘いの末、どうやら肩を痛めてしまったらしい。
力強い生命力さえ感じるこのごんぶと麺は、おやっさんが激闘の末こしらえた、魂の手打ち麺。
醤油黒々田舎風味付けのつゆに、おばちゃんが揚げた旬の野菜を使ったサクサク天ぷらと、魂のごんぶと手打ち麺が満員電車式に押し込んであるこのうどんは、まさに「重厚」。
水泳の飛び込み前と言った面持ちで、一呼吸置いてから「よし!」と食べ始めるお客さん。かく言う私もその一人。
「無理しないで食べてねぇ」。食べる前におやっさんが声を掛けてくれた。
左様、ここ藤屋のしきたりは無理をしない事なのだ。

(文: 抜井 諒一)

店名 峠のうどん屋 藤屋 TEL 0274-59-2768
マスターの名前 佐藤利夫さん URL
通称 おやっさん 営業時間 午前11時〜売れ切れ御免
住所 群馬県多野郡上野村大字楢原 定休日 水曜日
アクセス 「塩ノ沢トンネル」を出たら、塩ノ沢峠方面へ、「国民宿舎やまびこ荘」すぐ前

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