【名店のしきたり】 第24回 日常と非日常の間で(伊勢崎市)

更新日:2010年02月22日


7時開店 慌しい朝の味方

旅の途中の非日常であり、町の人の日常だった

なんべん食べてもうまいんだなぁこれが

券は買うが注文は口頭で

この店を支えた大きな釜

田舎町の駅の立ち食いうどんに、駅なんか利用しないのに週に何べんも行くやつは自分くらいかと思っていた。ところがそうでもなかったようだ。
駅のうどん屋には改札を通らないと食べられないのと外でも食べられるのがある。私の行く伊勢崎駅のそれはあとの方。結果、食事のためだけに通う。
午前中に行く時はそばを注文することが多い。うどんよりこなしがいいから食べてすぐ動ける。昼過ぎに行く時はおおむねうどん。仕事が休みの日だったら午前中でもうどん。つまりここはうどんがうまい。それがまた後を引く。
どうして伊勢崎駅のうどんはまた食べたくなるのかと思い、いくつかの駅を食べ歩いてみた。どうも伊勢崎駅のは、汁が違う。削り節から出る雑味が少ない。おいしくない駅の汁にはひねた酸味がある。返しのバランスもいい。返しとは汁の甘辛の配合のこと。やや濃い目でもある。
食事に満足感を持たせるのに味が濃い目であることには意味がある。濃い目とは塩からいということじゃなくて濃醇であるということで、重たいというのとも違う。元来があっさりしたものである鰹出汁を油脂に頼らず濃醇に重くなく仕上げるのは簡単ではない。
「駅を利用しない方もたくさん食べにいらっしゃってたんですけど…」
みんなの町のうどん屋は、駅舎の取り壊しとともに来月閉店する。

(文: 堀澤 宏之)

店名 東日本キヨスク伊勢崎駅構内そば店 TEL
マスターの名前 URL
通称 営業時間
住所 定休日
アクセス

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