【名店のしきたり】 第20回 歴史はこうして守られてゆく(桐生市)

更新日:2009年11月11日


すぐ満席になるカウンター

曰く、タンとハツは医者語で、それ以外はやきとり屋語、なのだとか

暖簾にはその店の、人柄が出るものだ

先代。準ちゃんである

違いのわかるナンコツ2種

まずはメニューの説明から。ヒモは小腸、つまりホルモン。ガツは胃袋。タケノコは血管。ニクトロは油の乗った肉。中トロはさらに油の乗った肉。そしてブレンヅは、カシラ。
掛札式のメニューは、売り切れたものから裏返る。5〜6たび訪れているが、いまだ全種がこっちを向いていたことはない。夕方から雨模様という11月初旬、この日初めてすべてを拝むことが出来た。
桐生市の繁華街仲町の南のはずれに、「やきとり準ちゃん」はある。夜も更けた銭湯の帰り道、道に迷って途方に暮れていたときにばったり出くわしたのが初まりだった。寒い季節だった。見るからに年季の入った店構え。他の街では見かけることの少なくなった老舗の佇まいだが、桐生では珍しくない。たてよこ斜めに張り巡る路地の巣穴に引っかかって以来、それっきり、ファンになった。
お店は、老いてなおカウンターに立つお母さんと、聞いたことはないが娘さんらしきお二人の三人で切り盛りしている。少し前にお母さんはけがをされてしまったらしく、この頃は二人だ。
お客の多くは一人で飲みに来ているようで、競艇帰りに違いないと思しきおじさんから文庫本片手の紳士まで、様々である。様々が様々のまま居られる、何よりそれはありがたいことで、準ちゃんの居心地の良さは、その、許容性にあるように思う。

(文: 堀澤 宏之)

店名 やきとり 準ちゃん TEL 0277-47-5106
マスターの名前 URL
通称 営業時間
住所 桐生市仲町3丁目9-30 定休日
アクセス

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