【名店のしきたり】 第18回 路地街に残る、昭和モダンな軽喫茶店(富岡市)

更新日:2009年09月27日


道の鋭角に沿う昭和軽食堂

和洋風の店内は、昭和モダンな喫茶店の雰囲気

屋号と相まって富士山を連想させる、冷やし中華

壁掛けの軽喫茶メニュー

富岡製糸場を表した織物

休日ともなれば、観光バスツアーや観光客が訪れ、俄かに賑わいをみせる富岡製糸場。その富岡製糸場入口前の道を、北へ歩く。往来脇に立ち並ぶスナック群を抜けた先、十字路の脇、道の鋭角に沿う様に店を構えているのが、「富士屋軽喫茶店」である。二階建の外観は、まさに模範的な昭和軽食堂、周辺路地の雰囲気を親しみやすいものにしている。
紺暖簾をくぐる。店内は、整列された机、鉄のポール、白タイル貼りのカウンターから、和洋風の昭和モダンな喫茶店と言う印象を受ける。席に着き、壁かけメニューを眺める。軽喫茶ならではの品揃え。おしるこ、ミツ豆からクリームソーダまで、幅広い年齢層へ対応している。その中、「ラーメン」で無く「中華そば」と言う表記が、昭和早期の名残を見る。
現在時刻は、蝉時雨の茹だる様な昼下がり。迷わず「冷やし中華」を注文。運ばれて来て、目を見張った。類を見ない形の冷やし中華からである。まず、器が曲げわっぱ風の瀬戸物の丸重。こんもりと盛られた具材は山、屋号と相まって富士山を連想させる。その頂上には、敷き詰められたすり胡麻の上にうずらの卵が一つ。彩豊かで食欲をそそる。ペロリと平らげ、店内を眺めつつ一息付く。各机の上に置いてあるコップ。その水中に根を漬けている、名も知らぬ細長い葉の植物。窓から店内に漏れる午後の陽、目前の光景は、日本映画のワンシーンの如し。

(文: 抜井 諒一)

店名 富士屋軽喫茶店 TEL 0274-62-0752
マスターの名前 URL
通称 営業時間
住所 富岡市富岡 定休日
アクセス 「富岡製糸場」の北側

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