【名店のしきたり】 第17回 パンの中には、花敷温泉今昔物語(六合村)

更新日:2009年09月09日


花敷温泉入口に在る

土産売店も兼ねる店内は、花敷温泉の今昔を現代に伝える

揚げパンでないカレーパンは、ふんわりとした食感

年代物の飲料クーラー

この道50数年の貫禄

新緑の吾妻渓谷に沿って車を駆る。「長野原草津口駅」先の、丁字路。六合村へと向かう道へ折れ、六合村役場を過ぎ、野反湖を目指す。道が更に山深く分け入ると、「花敷温泉」へと入る分かれ道に辿り着く。道を折れて直ぐ、花敷温泉街の入口に、「花敷ベーカリー」は在る。
店の前は、道幅が膨らむ様に広くなっており、真ん中に古びたバス停が一つ佇んでいる。人気を感じない山深い沢のほとり、辺りを静穏な空気が包む。店構えは、昭和の観光売店を思わせる外観。入口硝子戸を開けると、小振りなショーケースがあり、袋詰めさせたパンが並んでいる。種類は13種、食パンも1芹ある。価格は110円からと、安い。物色していると、奥の居間から店主の女将さんが出て来たので、店のあらましを訊ねた。この道50年以上の老舗、花敷温泉の今昔を現代に伝える、貴重な地元話が飛ぶ。
店内には、土産、菓子、飲料、アイスなどが雑然と販売されており、沈滞した観光地の空気が漂う。土産も兼ねて、食べ切れない程パンを購入するが、千円でお釣り。早速、外のベンチに腰かけて、幾つかパンを食べる。その中、特筆すべきはカレーパン。このカレーパン、良く見る揚げパンでは無い。その為、ふんわりとした食感が楽しめる。パンの匂い。街にあったパン屋さんの、あの懐かしいパンの匂いがする。中のカレーと相まって、美味い。この味、忘れがたい味。

(文: 抜井 諒一)

店名 花敷ベーカリー TEL 0279-95-5018
マスターの名前 URL
通称 営業時間 午前8時〜
住所 吾妻郡六合村入山 定休日 不定休
アクセス 野反湖へ向かう一本道を、「花敷温泉」へ入る

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