ひっそりと建つ路地裏の名店
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女将さんの手捌きは、熟練した職人の技
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具沢山で太麺のタンメンは、うま味が染み込んだ素朴な味わい
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中央通り商店街
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紺暖簾は重鎮の風格
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上信電鉄の終点「下仁田」駅まで来ると、それまでの田園風景の中に、山渓を望む。駅を降りると、山間の穏やかな街。駅前から諏訪神社までの直線を辿る、「中央通り商店街」へと歩を進める。商店街の中腹から、路一本、「仲町本通り」方面の路地裏へ入った所にあるのが、此処、「一番」である。立地条件、店構えから見て、常連客多数の土着の大衆中華食堂である事が窺い知れる。店の周囲にはスナックなどが点在しており、そこはかとなく漂う、酔街の気配を感じる。丁度、小腹が空いており、一番と言う潔い屋号と外観の雰囲気に関心を惹かれ、褪せた紺暖簾をくぐった。
店内は、カウンターL字カウンターと座敷席一つ。カウンター席に腰掛け、入口看板に記載してあった、「タンメン」を注文。カウンター席からは、厨房の全景が見渡せ、料理の一部始終が見られる。この昔ながらのスタイル、「企業秘密」と挙って厨房を隠し立てる現代の料理店と違い、清廉潔白で気持ちが良い。手際の良い女将さんの、まさに職人技と言える手捌に見とれている間に、タンメンがカウンターの上に登場。具沢山の野菜とコシのある太麺、あっさりしたスープと相まって、美味い。
食べ終わり、楊枝で歯を突きながら、ぼんやりとテレビを眺め、緑茶を啜る。一段落ついた女将さんと軽い雑談。この午後のひとときは、かけがえの無いひととき。
(文: 抜井 諒一) |