【名店のしきたり】 第15回 軽食の店にしか流れない、憩いの時間(富岡市)

更新日:2009年08月22日


風格ある橙色の幌が目印

昭和時代を懐古させる、軽食の店の佇まい

もはや伝統的と形容できる素朴な醤油ラーメン(ちなみに写真は大盛り)

このだんごも世界遺産に

価格から醸し出る良心

富岡市出身者に、「飯島屋」の事を話すと、皆、遠い目をして耳を貸してくれる。そして驚く。回想の飯島屋と、私が話す飯島屋の風景に経年を感じないからだ。
市内を走る国道254号線は、新造両側4車線の幹線道路で、通称「富岡バイパス」と呼ばれる。バイパスができ、商業施設が次々と沿線に林立する様になる と、市井生活の中心は、郊外へと移って行った。「上州富岡駅」から「富岡製糸場」を取り囲む様にして栄えていた中心市街地は、いつしか「旧市街地」と呼ば れ、それまでの両側2車線の国道254号線は、「旧街道」となり、絹の街の情緒を残す、静かな往来となっている。その旧街道沿いに、褪せた橙色の幌、軒先 に揺れる白暖簾がトレードマークの大御所、飯島屋がある。店内はテーブル席が多数あり、天井で回る扇風機、壁に備えられた箱形メニュー表が、昭和時代を懐 古させる。品揃えは、ラーメンからだんご、かき氷やあんみつなどの甘味と、軽食の流れを組んでいる。現代では希少な、駄菓子屋以上食堂未満となる、軽食の 店である。
素朴な醤油ラーメンを、サイダー片手に食べる。食後にはだんご。価格帯が安く、軽快な注文が出来るのも、軽食の魅力。この店には、軽食の店にしか流れな い、憩いの時間がある。飯島屋の歯ごたえ有るみたらしだんごは、巷で流行の、柔らかく歯ぬかりするだんごには負けない。まずもって違う、腰の入り方がね。

(文: 抜井 諒一)

店名 飯島屋 TEL 0274-62-0287
マスターの名前 URL
通称 営業時間
住所 富岡市富岡 定休日
アクセス 「富岡商工会館」を裁判所方面へ

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