【名店のしきたり】 第14回 トップパフォーマンスは永遠なり(前橋市)

更新日:2009年07月30日


トップの座を維持したまま引退

目の前に運ばれてきたすべてのメニューが想像を超えていた

暖簾をくぐるところからわくわくしたものだ

これは盛り合わせではない

いつ行っても一杯だった

食べ物がおいしくなっていると思う。外食チェーン然り、インスタント食品然り。値段も驚くほど安いものがある。100円に消費税でかけうどんが食べられる店なんて夢のような話だ。定員はアルバイトでもそこそこ気を回している。笑顔でもある。
企業努力の凄まじさに恐れ入ることしばしば。それでもどういうわけか、感じ入りはしない。
早い、安い、うまい、がよい店の条件だった時代があった。もちろんそれは今も変わらない。今はそれに、居心地がいい、というのが付け加わる。掃除が行き届いているか、接客が気が利いているか、しつらえのセンスがいいか、禁煙であるか、など。万事揃って、頭を抱える。
なぜだか知らないけれど。
その店はまず、とんでもなく安かった。安いにこしたことはない。でも安いときにはたいがいからくりがあるものだ。たとえば出来合いを温めただけであるとか。
初めて行ったときに「ハムカツ(180円)」を頼んだことを今でも覚えている。分厚いハムカツが3枚、揚げたての雰囲気満点で出てきた。見るからにおいしそうで、食べてますますおいしかった。
次に行ったときは「いかさし(260円)」を頼んだ。出てきたのはいかさしの隣にマグロが3切れ乗っているいかさしだった。
なぜだか知らないけれど。
料理が運ばれてくるたびに嬉しくなったことを思い出す。2009年6月25日、この店は閉店した。

(文: 堀澤 宏之)

店名 トップ食堂 TEL
マスターの名前 URL
通称 営業時間
住所 定休日
アクセス

「私の名店」を教えてください。
メールにてお待ちしております。