【名店のしきたり】 第11回 この街に似合う味があるならば(桐生市)

更新日:2009年04月07日


看板は「やきそばの店」とだけ

煙に包まれる背中は、心中にある「地元の店」を思わせる

「ポテト入りやきそば大盛」 初めて出合うが、どこか懐かしい

味のある店内装飾

カウンター越しの職人技

「自ら迷ってみる」と言う心持で、路地へと足を踏み入れる。私の街歩きはいつも、当てずっぽうである。迷い込む事もしばしばだが、それは時に、思い掛けない出会いをもたらしてくれるのだ。
天満宮へと続く、桐生市街地の目抜き通り、「本町通り」。その通り沿いにある、桐生市内観光の代表選手である「有燐館」から、通りを挟んで逆方向。北小学校へと続く横道に入る。目指す場所が在る訳でも無し。何時もながら、迷い込んだ先での出会いに賭けていた。街歩きにもツキがある。どうやらこの日の私は、ツキを持っていたらしい。賭けは私の勝ち。
横道を北小学校前まで歩くと、小さな十字路の脇に、情緒ある店を発見。時折、億劫そうに揺れる草臥れた暖簾。その横には手書きの看板、「やきそばの店」。屋号が書かれていない。淡い期待が、手に硝子戸を引かせる。
店内には、白いL字カウンターと、テーブルが2席。メニューは「やきそば」のみ。特筆すべきはそのトッピング。「ポテト入り」と「玉子入り」。どちらも初めてみるやきそばの仕様。早速、女将さんに「ポテト入りの大盛」を注文。
「機の頃は大分、この辺りも栄ってたんですよ」近年顕著な市街地の衰退を話込んでいる間に、やきそばが完成。ホクホクのポテトと、細麺のやきそば。絶妙かつ絶品。今年で創業38年目。香ばしいやきそばの味は、どこかこの街に似合う。

(文: 抜井 諒一)

店名 やきそばの店 馬場 TEL 0277-22-4418
マスターの名前 馬場さん URL
通称 営業時間 要確認
住所 桐生市西久方町 定休日 要確認
アクセス 市立北小学校前

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