 私には燦然と輝いて見える看板
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 パンの焼ける匂いだけでない、「匂い」が醸し出ている店内
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 これぞ「町のパン屋さん」的土着店の佇まい
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 かき氷(100円)も人気
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 看板商品のレトロパン
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昔ながらの商店が軒を並べる中之条の街中。国道353号沿線。その中でも、パン型のレトロな看板と、屋号の「オリンピック」が一際古き良き街並み景観を演出している、「オリンピックパン店」。
中之条町で商売を始めてから50有余年、創業当時から継ぐ伝統の味は、まさに郷土における「味の記憶」と呼ぶにふさわしい。二世代、はたまた三世代に亘って地元の人たちにひいきにされてきた、「町のパン屋さん」なのである。
店に入るとパンの焼ける良い匂い。と同時に、商品陳列棚や年季の入ったレジなど、店内にある様々な物が醸し出す、歴史の「匂い」を肌で感じる。親切な店主のおばちゃんは、店の歴史や昔の中之条の貴重な話を教えてくれた。時代は移ろへど、オリンピックには今日も、パンやケーキが変わらぬ味、形で並ぶ。そして何より、今日も店には「オリンピックのおばちゃん」がいるではないか。それこそが、街の歴史なのである。
この日は真夏。かき氷を一つもらう事に。年季の入った小型かき氷機を唸らせ、慣れた手つきで氷をかくおばちゃん。イチゴシロップ目一杯。こう言うところが良い。看板商品の「レトロパン」は、昔ながらの製法にこだわり、「オリンピックの味」を守り抜いているパン。外はこんがりと焼けており、中は真綿の様に白くふんわりとした食感。思わず頷いてしまう、安心感のある美味さ。この味が安心感のある街を造っているのである。
(文: 抜井 諒一) |