商店街のパン屋さん
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バラエティー豊かな品揃え 香ばしい菓子パンが勢揃い
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私が思うに、「カスタードデニッシュ」は絶品
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名物「こんにゃくパン」も販売中
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総菜パンの種類も豊富
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上信電鉄の終点「下仁田駅」から、「下仁田中央通り商店街」へと足を向ける。商店街路地の入り口十字路を右折しすると、その先の十字路に、街のパン屋さんの、銀色の外観が見える。
店舗脇からは、西上州の連山を一望でき、清流「鏑川」に沿うて開かれた町には、いつも爽やかな風が流れている。その爽やかな風に、香ばしいパンの匂いを乗せているのが、ここ「ベーカリーモテキ」である。ウィンドウ越しに、所狭しと陳列された、美味しそうな菓子パンが見える。入店し、トレーとトングを持って、早速、パン選ぶ。
驚くのは、菓子パンの種類。豊富な事はさることながら、「こんにゃくパン」や「原宿バナナ」など、興味を魅かれる変わり種も多い。「あれもいいこれもいい」と、惑い箸ならぬ、惑いトングをしながら、トレーの上にパンを積んで行く。レジへ持って行き、会計の途中で、親父さんとしばし世間話。
以前に比べ、すこしさみしくなってしまった商店街を、憂う一方で、とても陽気な親父さん。揚げパンのように、カラッとした親父さんの笑い声が、店内に響く。買いに来た常連さんと、入れ違いに、店を辞す。駅まで歩いて、駅舎の椅子に腰かけて、パンのビニールを剥がす。まずは、一番心魅かれた、「カスタードデニッシュ」に齧りつく。香ばしいパリパリの生地と、濃厚なカスタードクリームが相まって、絶品。思わず、笑みをこぼしながら、食べ進めて行く。午後一時を回った駅舎の中には、私一人。列車の着く気配は無く、午後の陽が、床に長い影を落としていた。
(文: 抜井 諒一) |