 坂戸の街の「秘密基地」
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 牛乳を一杯やりつつ、漫画を読みながらゆっくり寛げる
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 こじんまりとした浴室には、味のあるペンキ絵が構えている
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 「コーシン」の瓶珈琲
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 富士の景が確認できる
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東武鉄道「坂戸駅」北口を出て、目抜き通りを行く。信号「坂戸駅北口」を左側。つまり、商店街の方へ行くと、商店の軒先から、やや特徴的な細長い煙突が見える。細い路地の先に居を構えている「越の湯」。その外観は懐古的な木造家屋風であり、どことなく「秘密基地」、と言う形容が思い浮かんだ。
「ゆ」の文字が白抜きされている、紺暖簾をくぐると、玄関。下足入れは蓋を手前に開ける、珍しい形。入口のすり硝子戸を開けると、入口側と対面に置いてある、番台。座している親父さんに、湯銭410円を払い、脱衣場へ入る。
こじんまりとした脱衣場には、本棚が置いてあり、中に漫画が多数。その横の冷蔵庫には、各メーカーの飲料が豊富。湯上がりに、ゆっくりと寛いで行く常連さんが多いのであろう。籐の脱衣籠に衣服を入れ、浴室の硝子戸を開ける。
白タイル張りの室内。背面には劣化の進んだペンキ絵。富士山と湖が、薄っすらと浮かんでいる。絵の下に浴槽が1つ。深、浅に仕切りなしで、下面気泡型。温度計はおよそ45℃を計測しており、熱湯好きには最適。カランは左6、真ん中5、右6基の計17基。左のみシャワー付き。桶は黄色いケロリン。
湯上がり。「コーシン」の瓶珈琲に舌鼓。こじんまりとしているだけに、女湯の声がよく通る。おばちゃん連は、全国どこの湯へ行っても、楽しそうに話している。
(文: 抜井 諒一) |