 モルタル造りの風格ある外観
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 木材の醸し出す、やわらかな情感が漂う脱衣場
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 間取りの広い浴室 ペンキ絵とタイル絵、両方楽しめる
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 入口に年代を感るタイル絵
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 開放的で採光性がよい
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深谷市に残る伝統銭湯は「中屋湯」と、ここ「姫の湯」の2湯。駅から近い方が姫の湯である。その高貴な屋号に反して、風格ある無骨な外観が迎えてくれる。入口脇に5台程度置ける駐車場もあり、車で来る人も多い。開け放たれた入口の暖簾をくぐると、玄関。両側に木製下足入れ。因みに、収納数は片側63個と、とても多い。男湯のすり硝子戸を開けると、番台。その横に女将さんが座っていらしたので、湯銭360円を渡す。番台ではなくこの椅子が、女将さんの特等席らしい。
脱衣場。床板の褪せ具合と言い、硝子戸の木枠と言い、褪せた木材の醸し出す、やわらかな情感が漂う。硝子戸の数が多く、とても開放的で採光の良い建築である。庭には小さな池。籐の脱衣籠に衣服を入れ、浴室の硝子戸を開ける。
正方形の白タイル張りの浴室。背景には、男女に掛かる大きな富士のペンキ絵。大分、年季が入っている。私の目利きでは、作者分からず。カランは右4、真ん中8、左5基。右、左のみ全てシャワー付き。左の女湯との境の壁に、大きなモザイクタイル絵。絵柄は、アルプスを思わせる風景。浴槽は一つで深、浅に仕切り。ジェット噴射は無い、微弱なる下面気泡型。中屋湯にも見られたように、浴槽にステンレスの手すりが付いている。
湯上がり。いちご牛乳を飲みながら、女将さんとしばし談笑。そう言えば、姫の湯の由来を聞くのを忘れてしまった。
(文: 抜井 諒一) |