【とっておき探訪】 第51回 埼玉路地裏銭湯記(深谷市) 〜中屋場〜

更新日:2010年12月23日


味わい深い、質素な外観

経年を感じさせる脱衣場 随所の木材が歴史を感じさる

こじんまりとした浴室 浴槽の手すりに、優しい心遣いを感じる

使い込まれた木製ロッカー

歴史が刻み込まれた火鉢

旧中山道の宿場町において、繁華を誇っていた、「深谷宿」。高台にある城址公園から街を一望すれば、さだまさしの案山子の歌詞ではないが、そびえる「造り酒屋の煉瓦煙突」が見える。その中には、市井の歴史に欠かす事の出来ない、銭湯の煙突も確認できる。
「深谷市役所」の南側。と、大掴みに所在地を記した方が、分かり易い。駅前に広がる市街地には、古い街特有の、入り組んだ路地が形成されている。仲町にある中屋湯。肌色に塗られたモルタル造りの外観は、付近の住宅街に溶け込んでいる。暖簾をくぐって、鍵付き靴入れのある玄関。引き戸を開けると、番台の横に座っている大将。湯銭の410円を払って脱衣場へ入る。色褪せて、経年が染み込んでいる板張りの床。すり硝子で無い硝子戸の木枠など、ふんだんに使われている木材が、歴史を感じさせる。籐の脱衣籠へ衣服を入れ、浴室へ入る。
床だけは薄い灰色のタイルで、他は浴槽まで白タイルが張られている。カランは左2、真ん中6、右4基。シャワーは右のみに付いている。浴槽は1つで、深、浅に仕切り。浅槽のみジェット噴射2基。特筆すべきは、浴槽に付いている、手すり。
湯上がり。大将としばし歓談し、深谷銭湯史を伺う。中屋湯の創業は、今を遡る事、およそ150年くらいなのでは、との事。近所の人たちが、数十年前に作ってくれた火鉢の文字が、創業百云十年と言う。

(文: 抜井 諒一)

名称 中屋湯 URL 「埼浴」のHPあり
住所 深谷市仲町 営業時間 午後3時〜午後11時
アクセス 「深谷市役所」の南側 定休日 毎週水曜日(月ごとに要確認)
TEL 048-571-1972

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