地方銭湯には珍しい、唐破風
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こじんまりとした脱衣場だが、牛乳飲んで寛ぐには十分
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ピラミッド型に積まれた椅子に、どこか神聖な心意気を感じる
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瓶牛乳は隣県「栃木乳業」
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古い木製ロッカーも残存
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下館駅北口を国道50号方面へ、と言うよりは、「しもだて美術館」の脇と言った方が分かり易い。美術館から、住宅街に聳え立つ煙突が目に入る。下町の風情漂う閑静な住宅街に佇む松の湯。その外観は、所謂「東京型」の銭湯で、やや小ぶりだが、重厚な唐破風が見られる。その前に佇んでいる私は、およそ15分後に掛かるであろう暖簾を、今や遅しと待っている。私の横には、一番湯を狙っている常連のお爺ちゃんが、一人。
暖簾を掛けたおやっさんが、番台に付くや、料金の350円を渡し、写真撮影のお願いをする。その後、先程のお爺ちゃんにも協力してもらい、数枚シャッターを切る。浴室の真ん中。椅子がピラミッド型に積んである。どうやらこれが、浴室のしきたりらしい。皆、ここから取って、またここへ戻して行く。こじんまりとした浴室。床は清潔感のある正方形の白タイル張り。ペンキ絵は無く、浴槽の背面には岩装飾が埋め込んである。カランは右5、左5の計5基。シャワーは右3、左3基で、右の1基のみ故障中。浴槽は1つで深、浅に仕切り。深槽のみ下面気泡型。特筆すべきは、その形状。特徴的な縦割り瓢箪型、県内の「古河浴場」と、酷似している。
上がって、脱衣場。フローリング張り。洗濯機とドライヤーも完備。古い木製ロッカーの前にが、近代的な鍵付きロッカー。「栃木乳業」の珈琲牛乳を「グビッ」とやってから、帰路へ着く。
(文: 抜井 諒一) |