【とっておき探訪】 第41回 群馬路地裏銭湯記(富岡市) 〜大島鉱泉〜

更新日:2009年12月05日


鉱泉宿であり鉱泉銭湯でもある

シャワーは無く、カランのみのシンプルな造り

滝越しの富士山を眺めながら、鉱泉の軟らかな湯を浴む

冷蔵庫中には瓶ジュース類

マッサージ機が時代の証人

車は富岡市街を抜け、鏑川沿に沿って開かれた小高い山道を進む。渓流の緩やかな流れが、この大島の土地を穏やかな様相にしている。「北向観音」へと続く道の脇、古びた街灯看板の出迎えに、道が間違っていなかったと一安心。看板の先、煙がたなびく煙突の下に、小川の畔に佇む「大島鉱泉」が見えて来た。
この「鉱泉」ってのは、平たく言えば「冷たい温泉」である。日本の温泉法によると、25度以上でなければ温泉と定義されず、それ未満の湧水は鉱泉となる。ここ大島鉱泉は、日帰り入浴もできる「温泉宿」でなく「鉱泉宿」と言う事になる。鉱泉宿の方が、私などは新鮮な印象を受け、好奇心を刺激される。そして、「群馬県公衆浴場業生活衛生同業組合」に加盟している、公衆浴場でもある。だから360円と言う銭湯価格で、湯に浸かれる。
入口に番台は無く、設えは古風な宿の雰囲気。すり硝子戸からは、趣ある中庭の景色が見える。奥にある脱衣場入口にはしっかりと、「ゆ」の暖簾が掛かっている。こじんまりとした脱衣場は板張り、脱衣籠はプラスティック製。
浴室はタイル張り、奥の壁にはタイル絵がある。富士山の前に滝が流れ落ちている図柄。その下に浴槽が一つ。湯に浸っていると、「鉱泉だから体が温ったまるよ」と、裏で湯を沸かしている女将さんが教えてくれた。午後の日が満ちる浴室で、ゆったりと湯を浴む。

(文: 抜井 諒一)

名称 大島鉱泉 URL
住所 富岡市大島 営業時間 正午〜午後8時(日帰り入浴)
アクセス 「北向観音」近く 定休日 毎月10、25日(月ごとに要確認)
TEL 0274-62-1490

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