 観光客も思わず足を止める外観
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 板張りで細長い造り、新聞を読みながらゆっくりと寛げる
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 豪奢な浴室、壮大なタイル絵に埋め込めまれた水槽には金魚が泳ぐ
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 意匠を凝らした番台
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 街のオアシスを地で行く
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商店街の路地裏。未だ午前中だと言うのに、漏れ聞こえてくる、カラオケの名調子。耳を傾けながら私、腕組みして声の出所を眺めていた。其処は銭湯。おそらく、この銭湯の活気は、北関東一ではなかろうか。少なくとも、私が今まで入浴した銭湯の中では、群を抜いて一位。
外観を眺めているだけで、胸が踊っていた。今回は予備知識が多くある。テレビや映画、雑誌に新聞。あらゆるメディアで掲載されてきた、有名な銭湯だからである。暖簾を潜る前から、路上に立って、いささか感慨深くなっている自分が居る。
男湯の硝子戸を開けると、意匠が見事な番台。女将さんに300円を払って、脱衣場へ入る。栃木市の銭湯料金は安い。脱衣場は板張りで細長い造り。椅子、ソファーなどが多数有り寛げる。籐の脱衣籠に衣服を入れ、浴室へ入る。
浴室奥の壁一面、男女に掛かる壮大なタイル絵。岬の風景だが、魚たちが泳いでいる絵に愛嬌がある。中央部には、水槽が埋め込めまれており、金魚が泳いでいる。通称の由来に頷ける。その下、浴槽は一つで、仕切りが二つ。右から、薬用風呂、浅くジェット噴射が2基有る風呂、温浴素じっこう風呂。浴槽右端には色っぽい河童が腰掛けている。カランは右7、真ん中8、左7基の計22基。全てにシャワー付き。湯上りは二階の宴会場。正午前、出来あがった地元の人等が大宴会。森永マミー片手に、カラオケ観賞。
(文: 抜井 諒一) |