【とっておき探訪】 第34回 群馬路地裏銭湯記(桐生市) 〜三吉湯〜

更新日:2009年06月07日


不可思議な情緒を漂わせる外観

こちらは、女湯脱衣場から見た浴室

男湯浴室には、見事な富士山が鎮座している

中島絵師のサインを発見

肉厚な生姜焼き定食

思わず立ち止まって、目の前の風景を観賞した。路地の脇にはのこぎり屋根の工場が建ち、その裏手に在るのは、銭湯。和様建築の古びた外観と、補修で塗られた薄緑のペンキとが相まって、なんとも不可思議な情緒を漂わせる「三吉湯」である。その営業形態も特徴的で、銭湯と食事処を併設。午前11時30分から午後2時まで、三吉湯内の、「桐巨樹(きりのき)」で食事ができ、午後4時から午後10時までは、銭湯と食事、両方が楽しめる。生中ジョッキ2杯とつまみが付く、「生ビールセット」なんてオツなメニューもある。「風呂上り即生ビール」と言う、人生の浪漫を味わえるのだ。素晴らしい。
私は生姜焼き定食を食べ終え、脱衣場へ入る。室内はこじんまりとした畳張り。網戸越しの風が心地好い。籐の脱衣籠へ衣服を入れ、浴室の硝子戸を開ける。
浴室の奥には、風格ある富士山のペンキ絵が、どっしりと構えている。その下、浴槽は1つで深浅に仕切り。ジェット噴射は無し。カランは右5、左5基の計10基。シャワーは左のみに、設置されている。
撮影を終えて脱衣場から出ると、「女湯は絵柄が違うよ」と、ご主人の声。早速、女湯浴室へ。確かに、浴室の構造は変わらないが、こちらの景色は、万緑の渓谷に架かる吊り橋。その左下に、中島絵師のサインを発見。振り返ると、浴室。窓から斜めに入り込む午後の光線が、幻想的な空間を演出していた。

(文: 抜井 諒一)

名称 三吉湯 URL
住所 桐生市三吉町1丁目 営業時間 午前11時30分〜午後2時(桐巨樹のみ)午後4時〜午後10時(銭湯)
アクセス 「桐生信用金庫本店」裏手の路地、住宅街へ 定休日 毎週日曜日
TEL 0277-44-3277

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