【とっておき探訪】 第32回 群馬路地裏銭湯記(富岡市) 〜大正湯〜

更新日:2009年05月05日


モダンな白壁前に、積まれた薪

こじんまりとした板張りの脱衣場 経年の風格を感じる

珍しい円形支柱のカラン 輪になって洗う姿は微笑ましい

直に書く「お知らせ」

特徴的な、すり硝子

明治時代創生期。世界へ羽ばたく近代日本を創り上げる為、富国強兵・殖産興業を推進していた。その一環として、富岡市に日本初となる、官営模範器械製糸場である「富岡製糸場」が創業したのが、明治5年。昭和62年に操業を停止するまで、実に115年もの間、富岡の街と共に歴史を歩んだ。そして現在、世界遺産登録を目指し、大切に保存されている。
以上が、富岡の市街地観光の核となる富岡製糸場の簡単なあらましである。しかし、この街の魅力を紹介するならば、核を包む外側にも触れるべきであろう。中身の餡子だけ食べて、皮を捨てるには勿体無い饅頭、いや、街なのだ。富岡製糸場周辺に広がる路地は、市井の日本近代史縮図と言える。昭和の名残を留める、各商店。華を誇った盛り場の残り火を灯す、飲み屋街。そして、街に生きる人たちの生活が灯影される、銭湯「大正湯」。
白壁の外観は、一見、モダンな商店を思わせる。入口に積んである薪の奥には、暖簾の掛っていない入口硝子扉。男湯を開け、玄関横の番台に座っている女将さんに360円を払う。こじんまりとした脱衣場は、板張り。脱衣籠は籐製。
白タイル張りの良く室内、浴槽は1つで深浅に仕切り。ジェット噴射は無し。浴槽の上に、小さなタイル絵。図柄は岬。桶はケロリン。カランは右無し、左5基、真ん中6基の計11基。シャワーは無し。真ん中のカラン。円形支柱とは、興味深い。

(文: 抜井 諒一)

名称 大正湯 URL
住所 富岡市七日市 営業時間 午後4時〜午後8時30分
アクセス 富岡製糸場北側の路地 「ささき洋品店」近く 定休日 毎週日曜日(月ごとに要確認)
TEL 0274‐63‐6390

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