【とっておき探訪】 第31回 群馬路地裏銭湯記(前橋市) 〜磯部湯〜

更新日:2009年04月27日


路地裏に揺れる紺暖簾

民俗資料館の「昭和」を思わせる情緒は、もはや町の文化財である

湖のペンキ画を眺めながら、「温浴素じっこう」であったまる

骨董品級の体重計兄弟

昭和21年開業、満63歳

褪せた色合いが風格となっている紺暖簾。掛けてあるのは、入口で無く、軒先に在る駐輪所の雨どい。その為、路地の先からでも、揺れる暖簾が確認できる。街と共に生きる、銭湯の心遣いに感心。磯部湯の外観は、木造民家風の建築様式。入り口前には、駐輪所と5台程の駐車場を備える。玄関横には、筆文字で半紙に書いてある屋号、その横には、「昭和21年開業・薬湯・」の記載。下足入れに靴を入れ、脱衣場の暖簾をくぐる。
脱衣場へ入り、番台の女将さんに360円を払う。室内は、その調度品等の雰囲気から、民俗資料館の「昭和」と言った具合に、味わい深い。床は板張り、中央部のみ畳張り。洗濯機の横に体重計が二つ。この体重計兄弟は、もはや骨董品級の佇まい。木製鍵付きロッカーは5扉。籐の脱衣籠へ脱ぎ、浴室へ入る。
白タイル張りの室内。奥の浴槽の上には、壁一面のペンキ画。山々に囲まれ、森閑とした湖。全体的に、若干、草臥れている。浴槽は1つで深浅に仕切り。中央奥に岩装飾。浅槽にジェット噴射2基、深槽は下面気泡型。ここの湯の特徴は、「温浴素じっこう」なる薬湯。その色も、麦茶を煮詰めたかの如く赤銅色。桶はケロリン。カランは右4基、左無し、真ん中に6基の計10基。シャワーは左のみ3基。カラン、シャワー等は経年劣化が目立つ。
湯上り瓶牛乳は無し。一気に飲んだ、チオビタ120円。沸々と活力が満ちる。

(文: 抜井 諒一)

名称 磯部湯(現在廃業) URL
住所 群馬県前橋市千代田町 営業時間 午後3時〜午後9時
アクセス 「前橋テルサ」前の国道向いの路地、「群馬メディカルセンター」近く 定休日 毎週金曜日(月ごとに要確認)
TEL 027-231-9411

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