 女将さんの定位置の木造番台
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 味のある脱衣場 こちらの女湯は木製ロッカーが綺麗 男湯は破損進行
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 カランの数が多い細長い浴室 タイル絵の鯉が涼を演出
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 「章仙」作のタイル絵健在
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 暖簾潜れば、館林文化遺産
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館林市内に残る銭湯は二軒。その内一軒が、この「梅の湯」。キンカ堂から路地へ歩いて50mも行けば、往来脇、木造民家風建築の外観に暖簾が揺れている。
暖簾をくぐると玄関。男女に別れた戸の脇には、木造鍵付きの下足箱。靴を入れて戸を開けると、低い木造番台に女将さん。330円を払うついでに、まだ開店直後でお客さんの居ない隙、撮影許可のお願い。男湯、女湯とも心ゆくまで撮らせて頂き、銭湯歴史についてしばし談笑。
梅の湯の歴史は昭和初期に遡る。なるほど、簡素でありながら味のある、木造ロッカーと板張りの脱衣場。使用されている硝子は、今や大変貴重な大正時代製。衛生かつ神聖な空気に包まれ、何処かお寺に居る様な心持になる。
籐の脱衣籠に衣服を入れ、浴室の戸を開ける。細長い浴室に、ペンキ絵は無し。しかし、特筆すべきはタイル絵。女将さんに伺ったところ、タイルは九谷焼。柳の下の池で悠々と泳ぐ、野鯉、緋鯉、錦鯉。そして金魚にアヒル。芸が細かい。それもそのはず、女湯のタイルを見ると、鈴榮堂「章仙」の文字。日本最後のタイル絵師、章仙氏の作品なのである。タイル絵の前に岩装飾の浴槽、深浅に仕切りで、ジェット噴射は無し。桶はケロリン。カランは右に6基、左に6基、真ん中に6基の計18基。シャワーは全てに完備。上がって、瓶牛乳は無いが、缶珈琲をグビッ。
(文: 抜井 諒一) |