【とっておき探訪】 第20回 群馬路地裏銭湯記(高崎市) 〜諏訪の湯〜

更新日:2009年01月31日


庭に意味深なシトロエン

其処ら彼処に常連客の洗面道具が点在

ペンキ画は無し 浴槽の上に置いてある板は「湯もみ」用

花王「銭湯浪漫」の暖簾

未だ暖簾が出ていない外観

高崎市新町は、旧中山道「新町宿」として栄えた宿場町。国道から路地へと入ると、旧街道の面影を残す町並みが、静穏と軒を連ねる。しかし、近年の区画整理等により、その大半は新興住宅地へと姿を変え、街の代謝を窺わせる。
裏通りに面する閑静な住宅街。瓦屋根とブロック塀が一様に並ぶ。その中、そびえる煙突の横でひっそり佇む、懐古的銭湯「諏訪の湯」。草臥れて全体的にくすんだ外観からは、歴史の針が止まって久しい印象。庭先、半ば朽ち果てたシトロエンがオブジェの様に通りを見つめている。
未だ暖簾が出ていない。開店時間を聞こうと、入口引き戸を開ける。玄関横に木製下足入れ。その対面の番台は空。その場に立って店主の帰りを待っていると、浴室にいた先客の御爺さんが此方へやって来た。「番台に料金を置いて入っても良い」との旨を伺い、360円を置いて脱衣場へ入る。
畳張りの床、収納棚には常連客の洗面道具が点在。雑然とした脱衣場だが、明治の瓶牛乳やドライヤーなど完備。籐の脱衣籠に着衣を入れ、浴室へ入る。
こじんまりとした浴室内、ペンキ画はなし。カランは右に4基、左に3基、真ん中に6基の計13基。シャワーは、右のカランに3つ。浴槽は一で深浅に仕切り。中央背面には岩の装飾があり、「湯もみ」用の板が置いてある。窓から束になって降り注ぐ西日に、たゆたう湯が輝いている。

(文: 抜井 諒一)

名称 諏訪の湯 URL
住所 群馬県高崎市新町 営業時間 午後3時〜午後10時
アクセス 新町郵便局近く 「洋菓子店アルル」、道を挟んで対面の住宅街 定休日 要確認
TEL 0274-42-1163

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