胸を張って青空に伸びる煙突
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県内銭湯でも、この雰囲気は横綱クラスの佇まい
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県内銭湯でも、この雰囲気は横綱クラスの佇まい
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地牛乳「田中牛乳」90円
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畳の脱衣場は珍しい
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桐生天満宮前の往来にひっそりと佇んでいる「一の湯」。その年季の入った木造の外観からは、長年の風雨に耐えてきた風格が醸し出ている。
「赤外線超音波気泡風呂」と大きく書かれた古風な紺暖簾をくぐり、男湯の入り口を開けるとすぐ横に番台。おばちゃんに330円を払って入場。「タオルは持ってる、石鹸は大丈夫」と、一見の客である私を気遣ってくれる親切なおばちゃん。何気ない親切にしんみりと感動しつつ、石鹸を借りて脱衣場へ。小さめの脱衣場には、常連の荷物が占拠する木製ロッカーと、籐の脱衣籠。脱衣場の床は畳張りである。隅に置かれいる木製の身長計、最長目盛180cmが時代を窺わせる。設置されているドライヤーは無料。
浴室に入ると、やはりこじんまり。カランは右に6基、真ん中に3基でシャワーは右のみに有り。外観に比例する事無く、鮮やかな薄緑色のペンキが塗られた浴室は爽やかで綺麗な印象。浴槽は一つで深浅にしきり。深い方に赤外線のランプ、浅い方にはジェット噴射が2基。まさに暖簾の売り文句である。浴槽の後ろには、ペンキ絵でなくタイル絵。
湯から上がって、地牛乳「田中牛乳」で一息。往来から聞こえる、威勢の良い祭りの声が風流である。「またおいで、100円になるから」帰際、おばちゃんが声をかけてくれた。祭りの日の特別価格で、二度目からは100円になるとの事。この人情味ある温かさが、銭湯なのである。
(文: 抜井 諒一) |