 バクレス式オゾン浴泉が稼動
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 背面に岩装飾が施された広い湯船
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 風格ある佇まいらしからぬ、ポップな暖簾
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 風呂上りは明治瓶コーヒー
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 付近に問答無用の良味食堂
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群馬県にもしっかりと残っている、路地裏に褪せた暖簾が揺れる伝統銭湯の数々。情緒ある銭湯は、街に住む人達の憩いの場として今でもちゃんと機能している。私が住んでる高崎市にも、市街地にはまだ暖簾を出している銭湯がある。
とかく「温泉押し」の群馬県。しかし、その影には庶民の銭湯文化がしっかりと息づいているのである。
太陽が赤く滲み出す夕暮れ。タオルを携えたおじいちゃんが、よっこらよっこら路地を歩いて行く。そんな光景こそが、残したい文化そのものである。
今回は高崎市の「藤守湯」。場所は裏通りの住宅街の一角に面しており、と言うか銭湯は大抵、路地裏にある。
その暖簾をくぐると直ぐ下駄箱があり、下足を入れ木板の鍵を抜くシムテム。代金を番台で払って脱衣場へ上がる。風通りの良い室内で、籐の脱衣籠へ衣服を入れ、浴室の硝子戸を開ける。
浴室にペンキ絵は無し。浴槽は一つで、あつい湯とぬるい湯に分かれている。あつい湯の方は当然だが相当熱く、一分も浸かっていると肌が薄っすら赤くなってしまう程。なのに、地元のおじいちゃんは涼しげな顔で余裕の長風呂。薬湯の効果で、体の芯から温まる。
男湯の横には小さな中庭があり、庭園内の池を泳ぐ錦鯉を眺めながら、心地よい夕風に吹かれて涼む事ができる。
(文: 抜井 諒一) |