 白い夏暖簾がたゆたっている
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 近代的な鍵付きロッカー 入浴備品も豊富に販売されている
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 種類豊富な湯船 奥に鎮座するのは壮大な富士山のペンキ絵
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 詩人「田村隆一」の詩もある
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 水音の響いて金魚驚きぬ
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角を曲がると、往来にひらひら揺れている白い暖簾が見えた。前回、春に来た時は、紺暖簾だったので、7月の今は、涼しげな夏暖簾になっている。ここ「桜湯」は、「熊谷駅」北口を出て、徒歩3分程度と言う、まさに「駅前銭湯」と言うにふさわしい立地。夕暮時となれば、店脇に常連さんの自転車が連なるくらい、活気に溢れている。
暖簾をくぐる。背の高い番台に座っている女将さんへ、410円を払い、脱衣場へ上がる。こじんまりとした脱衣場。その中央には、鍵付きの近代的なロッカーが設置されている。ロッカーの上には、入浴備品も豊富に揃えられている。清掃の行き届いた室内は、「都会の湯屋」、と言った風な、洗練された印象。それは、浴室にも反映されていて、まず、湯船の数が3つある。座風呂、ミクロバイブラ、薬湯と言う、充実の設備。カランは左6、真ん中8基で、全てシャワー付き。右側には立身式のシャワーが4基。背面の壁には、男女にかかる壮大な富士山のペンキ絵がある。富士山は女湯側に書いてあり、男湯からは、その雪をかぶった頂上部分から中腹あたりまで、と言う眺め。中島絵師の作品だろうか。端から順に湯船をはしごして、しめは、ジャスミンの薬湯で上がり。
湯上がり。瓶牛乳を飲みながら、夏場所のテレビ中継を見ていると、「パシャン」と、浴室から威勢の良い水音。その音に驚いた金魚が、水槽の中を忙しく回っていた。
(文: 抜井 諒一) |