 アパートと一体のビル型
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 コインランドリーも有り、市井の生活を支えている
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 茶系統のタイルが面白い浴室 浴槽中央部には岩装飾
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 番台には飲料や備品も販売中
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 ドライヤーとマッサージ機も有り
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夕暮時のJR日立駅前ロータリーはお盆期間の為であろうか、閑散としている。左側に見える「東横イン」の灯り、その逆である右側へ、並木の配列に沿って歩く。ロータリー内を出て直ぐの往来に、駅前銭湯「福の湯」の看板が灯っている。その外観はビル型で、横に入口のあるアパートと一体になっている。
玄関で靴を脱ぎ、小ぶりなげた箱へ入れて、硝子戸を開ける。男女の境にある番台は高く、女将さんに300円を支払って、脱衣場へ入る。こじんまりとした浴室内には、コインランドリーが1機有り、地元の生活と密接に結びついている事が伺える。鍵付きのロッカーは使用せず、脱衣籠に衣服を入れ、浴室へ入る。
浴室内にはペンキ絵などはないが、全体に貼りめぐらされているタイルの、茶系配色が目を引く。浴槽は1つで、深浅の仕切りは一本のステンレス棒。下面気泡が盛大に湧いている。カランは右4、真ん中3、左4基の計11基。右と左のみシャワー付き。桶は黄色ケロリン。熱いが肌触りの好い湯で、「サッ」とあったまってから、体を拭いて上がる。
湯上がり。女将さんに気になっていた震災の事を伺う。3月11日の揺れで、屋上のタンクが2基とも破損。しかし、15日には応急処置で復旧し、16日から営業を再開したと言う。16日は無料営業とし、湯客が並ぶ程、盛況だったとの事。入浴の大切さは勿論、銭湯が非常時の地域コミュニティーとして、重要な機能を果たした事実が確認できてよかった。
(文: 抜井 諒一) |