【とっておき探訪】 第59回 茨城路地裏銭湯記(日立市) ~福の湯~

更新日:2011年08月16日


アパートと一体のビル型

コインランドリーも有り、市井の生活を支えている

茶系統のタイルが面白い浴室 浴槽中央部には岩装飾

番台には飲料や備品も販売中

ドライヤーとマッサージ機も有り

 夕暮時のJR日立駅前ロータリーはお盆期間の為であろうか、閑散としている。左側に見える「東横イン」の灯り、その逆である右側へ、並木の配列に沿って歩く。ロータリー内を出て直ぐの往来に、駅前銭湯「福の湯」の看板が灯っている。その外観はビル型で、横に入口のあるアパートと一体になっている。
 玄関で靴を脱ぎ、小ぶりなげた箱へ入れて、硝子戸を開ける。男女の境にある番台は高く、女将さんに300円を支払って、脱衣場へ入る。こじんまりとした浴室内には、コインランドリーが1機有り、地元の生活と密接に結びついている事が伺える。鍵付きのロッカーは使用せず、脱衣籠に衣服を入れ、浴室へ入る。
 浴室内にはペンキ絵などはないが、全体に貼りめぐらされているタイルの、茶系配色が目を引く。浴槽は1つで、深浅の仕切りは一本のステンレス棒。下面気泡が盛大に湧いている。カランは右4、真ん中3、左4基の計11基。右と左のみシャワー付き。桶は黄色ケロリン。熱いが肌触りの好い湯で、「サッ」とあったまってから、体を拭いて上がる。
 湯上がり。女将さんに気になっていた震災の事を伺う。3月11日の揺れで、屋上のタンクが2基とも破損。しかし、15日には応急処置で復旧し、16日から営業を再開したと言う。16日は無料営業とし、湯客が並ぶ程、盛況だったとの事。入浴の大切さは勿論、銭湯が非常時の地域コミュニティーとして、重要な機能を果たした事実が確認できてよかった。

(文: 抜井 諒一)

名称 福の湯 URL
住所 日立市平和町1丁目 営業時間 夕方より
アクセス JR「日立駅」から徒歩1、2分 定休日 月ごとに要確認
TEL 0294-21-6649

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