1904声 夜犬

2013年03月22日

夜、である。
心地の良い朧夜だったので、裏の田圃でちと俳句でも作ろうと、畦道を歩いていた。
遥かに瞬く夜景を眺めていると、用水路の脇の叢に気配。
「ごそごそ、ごそごそ」
明らかに、何か生物がいるもようである。
季節柄、猫だろうと思い、じっと闇に眼を凝らしていると、出た。
猫、にしちゃずいぶんと大柄で、猪にしちゃ、随分とおっとりしている。
おそるおそる、じりじりと近づいてみると、犬であった。
丁度、三歳児くらいの大きさの、柴犬。
飼い犬らしく、闇に首輪が光っている。
昼間に見ればかわいいのだろうが、闇に出遭う犬てぇのは、不気味である。
何だか、近づいて来ると余計不気味なので、あまり目を合わさぬように帰路に着いた。

【天候】
終日、晴れ。