2428声 作家性

2014年11月15日

「シナリオ大賞」という若手監督支援を行ってきた伊参スタジオ映画祭にとって
今年はとても嬉しい年になった。というのも、過去そのシナリオコンテストで
最優秀賞を受賞し中之条町で映画を制作した2人の監督が、その後商業映画を監督し、
その2本の映画、『燦燦』と『ゆるせない、逢いたい』を上映することができたからだ。
その両映画上映後の対談の司会を務めた。

 

外山文治監督による『燦燦』は、吉行和子さん主演の高齢者婚活を描く人間ドラマ。
齢34歳の監督が描く脚本に、数々の映画に出演してきた吉行さんは、
「このセリフを待っていた」と言ったという。確かに、出演者の行動すべてに
裏付けとしてのドラマが描かれており、監督の「人間を描くこと」についての
執念のようなものも感じた。物語が総じて人間賛歌になっている所も外山節。

 

金井純一監督による『ゆるせない、逢いたい』は、女子高生が主役。
今はやりの青春ラブストーリーではなく、取り返しの付かない傷を負った彼女が、
周囲の保護を抜け自分自身で生きる術を探す物語。細かい生活の描写や、
川の流れ夕暮れの闇など、様々な要素を収束させ、映画として結実させている。
来場いただいた主演の吉倉あおいさんは、顔面積が僕の半分だった。

 

作家性―――
外山監督の「人間の本質を捉えた人間ドラマを描く」ということ、
金井監督の「出演者の気持ちを尊重し、ドキュメンタリー的に描く」ということ、
それらは伊参での映画製作時にも原石的に光っていた部分だ。
彼らはその作家性を磨き、誰にも媚びない自らの映画を作った。

 

それは奇跡に近いことと思っていたが、檀上の二人の目をみて、ああ違うなと。
彼らの目はしっかりと、次の映画をみつめていた。