とある講演会の撮影を行った。
集まったのは多くの経営者たち。
先が読めない時代を生き抜くにはと、
講演者が熱弁をふるっていた。
「社員やお客さんを変えようと思っても無理です。
まずは自分が変わらないと!」
講演者が語ることはどれも正論で、
なるほどと思いながら撮影していた。
けれど、一か所、妙にひっかかった。
東北へのボランティアに精を出す社長がいて、
私(講演者の方)は毎年のように褒めていたのだけれど、
ある時ふと「会社の方はどうなんです?」と聞いたら、
「ここ数年赤字ですわ」と答えたという。
ふざけるなと、褒め言葉を返してくれと。
納税は社会貢献。赤字続きで税金も払わない奴は、
道路のはしっこを歩いていただきい。
そんな内容だった。それは、正論、であると思う。
経営者たるもの、至福を肥やすのではなく、
たくさん稼いでたくさん納税してたくさん社会貢献せよ、
そういう人々がいなければ社会が成り立たないこともわかる。
そのボランティア社長も、仕事が安定するまでは仕事に
専念するとか、会社を閉じてNPOで活動するとか、
そういう生き方を選ぶ方が正しいのかもしれない。
けれども。
あくまでただの想像だが、会社経営がうまく行かずに、
でも必要とされたくてしたくて、ボランティアに向かう。
家族や社員や取引業者がその行為を非難することはできても、
それは間違った生き方なのだろうか?と考えてしまうのだ。
正論は絶対ではない、と思う。
正論逃れをしたいわけじゃなく、
正論では辿りつけない人生を見てみたい、
という欲求がある。

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