828声 満開の桜と教室の蒼白

2010年04月07日

昨日今日と、巷の学校では入学式が行われていた模様。
新一年生が、両親と一緒に学校脇の歩道を、何処か不安そうな足取りで、
歩いて行く姿を見掛けた。
群馬県平野部では、校庭の桜も満開。
なので、今年は華やかな入学式となっただろう。
桜を見ると、何故か昔の故郷を思いだしてしまう。
中学校の新一年生だった頃。
今時分の私は、教室にいた。
入学式も終わり、始めて入る教室、始めて座る席。
正午の少し前、陽が入り込む教室は明るく、硝子窓の向こう、校庭の桜は今まさに満開。
名前名簿順に席へ座り、担任の先生の話を聞いていた矢先、突如としてあがった悲鳴。
教室の入り口付近に座っているI君が、戻してしまった。
つまりは、突然ゲロを吐いてしまったのだ。
騒然となる教室内。
教室後ろで見守っていた保護者たち。
突然の事で、状況を飲み込めずに、茫然と静観している。
張り詰めた空気を裂いて、初めに駆け寄ったのは、I君のお母さん。
ハンカチで汚れた所を、一心不乱に拭いている。
私を含む、小学校からの友人たちもおろおろと駆けより、
先生の指示を聞いて聞かずか、掃除用具入れから雑巾を出して、拭く。
羞恥心と悔恨とが混ぜこぜになり、皆に雑巾で拭かれながら、半べそかいてる、I君。
私は吐瀉物を雑巾で拭きながら、内心、「えらい所に来てしまった」と思った。
そして、「大丈夫大丈夫」と、人形の如く顔面蒼白になっている彼の肩を叩きながら、
「こんな所からは、一刻も早く帰ろうぜ」と、呼びかけていたのだった。