895声 新しい木札

2010年06月13日

今週半ばから、乱れっ放しの生活習慣も、どうやら今日で一区切り。
一息つく為、銭湯へ出掛けた。
浅草湯の浴室へ入ると、浴槽の背面に、手書きの木札が二つ、掛かっている。
「熱い方乃湯」と「ぬるい方乃湯」。
平仮名で書く「の」ではなく、漢字で「乃」と記している点。
それは、「温い」ではなく「ぬるい」と記している点にも言える。
この木札を見て、私はこの文字に醸し出されている玄妙な感覚にこそ、
銭湯の魅力を感じるのだと思った。
人の気持ちを「和ませる」と言うのは、容易に狙って出来る芸当ではない。
湯船に浸かりながら眺めるその真新しい木札は、
そこはかとなく清々しい気分にさせてくれた。
帰宅し、窓から吹き込む心地好い夜風が、湯上りの火照った体を冷まし、眠気を誘う。
気付けば机の上。
頬杖つきながら、目を閉じて、うとうと。