897声 音と心理

2010年06月15日

世界中のメディアが、昨夜、日本のW杯初戦の勝利を報じた。
「日本勝利」
その言葉の裏には、「予想に反して」と言う、意外性が見え隠れしている。
日本のメディアや世論とて例外では無いが、それはさておき、
棚から出てきたぼた餅をつまみに、差し当たり、勝利の美酒に酔おうではないか。
と言うのが、巷の声であろう。
1対0で、ゴールを決めた本田選手は一躍、救世主となり、
岡田監督の旗色も、幾らか色を取り戻して来たようである。
ラジオインタビューで、こんな事を答えた、現地のサポータがいた。
「日本が先取点をあげてからは、あの耳障りなブブセラの音が、
次第に、心地よくさえ、聞こえる様になった」
私も昨夜、寝床の中からブラウン管に映る、試合の一部始終を見ていたのだが、
確かに、そのように感じた。
試合開始早々の時分には、テレビのスピーカーから、
鳴りっぱなしのクラクションの如く流れて来るブブセラの音が、とても威圧的に感じた。
それが、試合後半、日本有利の儘、早く試合時間が終わらないかと切望する気持ちを、
このブブゼラの音が後押ししている様に、感じるまでになった。
つまりは、ブブゼラが鳴り響けば響くほど、時間が早く進む様な気さえしたのだ。
人の心理など、案外、いい加減なものである。
すると、現在、我が部屋の窓から聞こえる、蛙の大合唱も、
気の持ち方一つで、心地好い、BGMになると言う訳だ。
しかし、それは実現し得ない。
何故なら、我が生活上の茫漠とした「敵」に対し、既に失点が込んでいるからだ。