898声 猫の八当たり

2010年06月16日

誠にもって、蒸し暑い。
畳の上に横たわり、扇風機の微風を受けている時は良いが、
一度、扇風機を止めれば、不快な熱気が纏わり付いてくる。
扇風機のプロペラは快調に回転しているが、どうも、我が頭の回転が著しく鈍っている。
虚ろに天井を眺めていると、やけに、浮遊している羽虫が目に付く。
「網戸に穴でも」
と思い、窓辺まで這って行き、窓の縁へ手を掛けてのそのそと立ち上がる。
湿気を吸って体重が増加してのではなかろうかと思われる程、体が重たく感じる。
「ヴャーゥオ」
闇にさんざめく蛙の声をつんざいて、猫が喧嘩している声。
ひとしきり喧嘩が済んで、また、闇に蛙だけがさんざめいている。
こう蒸し暑いと、猫も気が立ってくるのだろう。
あんなに暑そうな毛皮を着ていて、脱ぐ事が叶わないのだから。
おまけに蛙は、お構いなしに大合唱。
そりゃ気持もやさぐれて、仲間と居ても、お互いに八当たり。
自然と喧嘩に発展してしまうのだろう。
いささか、猫を気の毒に思い、網戸に不具合が無い事を確認し、一安心。
猫を真似て、四足歩行で寝床へ戻り、猫が茶を吹いている様な顔で、寝てみる。