4796声 老い支度

2021年05月26日

断捨離4日目。家中の物を端からゴミ袋に詰めているつもりだが、減っている感じがあまりない。それでも捨てていると、軽くもなるし、また、未練も少なくなる。20代の後半から、老い支度のつもりで生きてきた。20年もそんなことをしている。30代のときは仕事をそっちのけで、まちづくりに没頭した時期もあった。料理を作ってお客さんを待つことに我慢がならなくなって、直接誰かに料理を教える仕事をしたりもした。仕事がなくて、昼間から飲んでいた時期もあった。今まで老い支度は、老いが怖いからだと思っていた。しかしながら怖かったのは老いそのものではなく、誰よりも自分のペースでしか生きられない孤独感だったのかもしれない。自分のペースでしか生きられない孤独感がいったい何なのかよくわからないという不安、なのだと思う。それをまちづくりや料理教室で満たそうとしたが、結局満たせずに、その時のマイペースだけで生きてきた。今ようやく、マイペースでいながらも、孤独感もわかるようになったかもしれなくて、また、孤独ではないという実感も感じられるようになった。だから捨てられるのだと思う。と、捨てていて思った。生きるというのは、他者を生むことである。そういう意味では、少しは他者を生めるようになったと思えているのかもしれない。一方で、他者を生むことも捨てられるようになれたら、人生に未練がなくなるのかもしれないと、そんなことまで考えた。まだ未練はある。