4860声 もうすぐ雨は

2021年07月30日

今から出たら多分 あの橋のあたりで 僕ら会えるだろう
今から出たら多分 あの橋のあたりで うまく会えるだろう

 

「もうすぐ雨は」冬にわかれて

 

寺尾紗穂さんがボーカルをつとめるグループ・冬にわかれての曲の一節。何気ない描写でありながら、寂しさも優しさも描かれているこの歌詞、この曲がとても好きだ。

 

二十歳を過ぎたころにはもう「翼広げて大きな空へ飛び立とう」「涙のあとには綺麗な花が咲くだろう」みたいな漠然とした希望や美しさを歌う歌を受け付けなくなってきた。自分が根暗なのかどうかはわからないが、心が拒否する。2000年代に世間的にヒットした曲のたいがいは、そのような漠然とした思いを歌った歌が多かった気もする。

 

オリンピックで僕に限らずいくらかの人が感じているだろう違和感のひとつに「にっぽんやりました!金です!」とキャスターが満面の笑みで話した直後に、表情一転「コロナウィルス感染者が過去最高の・・」とシリアスに語り出す事のあのギャップがあると思う。漠然とした希望と漠然とした不安。

 

オリンピック選手の活躍を漠然とした希望、と書くことは間違っているかもしれない。けれど5年前もそれ以前も同じフォーマットで語られてきた変化のないその報道を見ていて、以前ほど自分が共感できないことに気づいた。それは僕の状況の変化もあるが、実は以前からテレビは「にっぽんやりました!」的な漠然とした希望を伝えていたに過ぎなかったのではないか、という気づきだった。

 

今までもこれからも欲する人はいるのだろうが、僕はもう漠然とした希望をあまり欲しないのだと思う。雨の中、今から出たらあの橋のあたりであの人に会えるような、僕が今立っている場所の延長にあるような、ささやかな希望がほしい。

 

もうすぐ雨は