来月から2年ぶりの猟友会撮影が始まる。3年前は吉井町で猟銃による狩猟を、2年前は片品村で罠猟の様子を撮影した。県の仕事である。今回は、より高レベルの狩猟を行いたい経験者が見る、教材的な映像を制作する。そういった映像は他にほとんどないと思うので、やりがいを感じている。そしてそれ以上に・・猟友会の皆さんの足についていけるのか、という不安が大きい。3年前はやっとだった。年齢・・というよりは、日頃体を動かさず不摂生をしているがゆえの自業自得である。
と、弱音を吐いていても変わらないので、多少は準備を始めた。今日は、実際の撮影で使うアクションカムを頭につけて東吾妻町の岩櫃山を登る。岩櫃と言えば、2016年の大河ドラマ「真田丸」で注目された真田氏の岩城があった場所。小学生の足でも頂上付近まで行けるが、鎖を使う場所や沢の石の上をぽんぽん渡る場所もあるのでなかなか登りがいがある。今日は初めて「尾根通り」コースを登ってみたのだが急こう配がきつい。はあはあという息切れも、アクションカムにきちんと録音されていく。
頂上付近まで登ると、チェックシャツを着てリュックを背負った先約がいた。「頂上は何も印がないんですね」と聞かれたので「岩櫃山の頂上はあそこ(頂上付近から見上げることができる、鎖を使った岩場の上)なんです。無理に行く場所じゃないと思いますよ」と答えた。でもせっかくだからと、チェックシャツのおじさんは荷物を置いて一人、頂上の岩場へ向かっていった。
先に下山しても良かったのだが、僕はわりの地元の岩櫃経験者であるし、おじさんの荷物もそばにあるし、彼が鎖を登って万が一の事があればと思い、じっと見届けていた(僕が立つ場所から頂上は丸見えなのだ)。ゆっくり、けれど確かな足で彼は頂上に立った。
おじさんが戻ってきた。「まあ、一度行けばいいよね」と彼。「色々な山を登っているんですか?」と聞くと「はい。100名山は98つ登りました」と。ぽかーん。僕の地元マウントなんて全く意味をなさず、おじさんは山の達人だったのだ。下山道はおじさんの後について降りていったが、無駄なく軽妙に歩くおじさんは、すぐに見えなくなってしまった。
うだうだ言わずに、行動する、継続する。それしかないよと、誰かに言われた気がした。