5976声 根を張る

2024年10月17日

この日は、以前ここにもちょっと書いた中之条町六合に移住した相田永美さんの取材日だった。映像記録ではなくライターとして六合の奥まで車を走らせる。入山銀座(旧国村唯一となった(多分)ガソリンスタンドや人気の蕎麦屋「野のや」がある一体)を左折し京塚温泉方面へ、そのちょっと先に相田さんのアトリエであり予約制で公開もされている「あるところにないところ」はある。

中に入ってまず目につくのは大量におかれた観葉植物。コレクターと言っても過言ではないがその鉢植えなどは自作の陶器が使われている。葉がとげとげしていたり、変に丸みを帯びていたり。建物の周囲にある六合の山奥に自生する大きな自然と、内省的とも言える(というのは彼女の言葉ではなくて僕の勝手な印象だが)異質な観葉植物、そのどちらもが彼女の制作に欠かせないもののように思えた。

六合に根を張る、というと数年前に六合から長野に移ったアーティストの古川葉子さんを思い出すのだが、彼女もまた六合の自然や風土に感化されすばらしい作品を作り(中之条ビエンナーレにも多数参加)、今は結婚を機に長野へ移ったが、それは六合で生やした根を断ち切って離れた、という印象ではなく、長野と六合とで彼女の中では地中深く根っこがつながっているのではないか、と思ったりする(というのは彼女の言葉ではなくて僕の勝手な印象だが)。

さすが六合、同じ町内でも僕んちよりも冬が近いな、とも思った。