1050声 ストーブの料簡

2010年11月15日

つい今し方であるが、やけに部屋の中が寒い、と感じていた。
俳句歳時記を読みながら、鼻の頭を触ると、冷たいのだ。
夜寒ってのは、大抵、鼻の頭からやって来る。

ふと、机の脇に目をやると、先程まで、煌々と灯っていた部屋のストーブが、ついてない。
席を立って、確認すると、目盛りはキチンと「入」になっている。
つまりは、壊れたのであろう。
目盛りを、「切」から「入」、その反対へと、幾度も動かしているのだが、
ウンともスンとも言わない。

私の部屋にあるのは、石油ストーブで無く、電気ストーブ。
なんだか、その形状が珍妙で、扇風機そっくりなのである。
扇風機のプロペラが無く、その芯の部分に電熱線が巻き付いている。
暖房効果は、あまりよくない。

現代でも、古風な銭湯へ行くと、脱衣場に火鉢が置いてある。
火鉢の温かみってのは、そこはかとなくまろやかで、よいものである。
陶磁器の丸い火鉢なんてのは、一寸オツな雰囲気で、
心までほっこりさせてくれる。
そう言えば、ほのじにも、ひとつ良い火鉢があったっけ。

ともあれ、私の部屋のこのストーブである。
まず、暖房器具に扇風機の形状を用いるってな料簡が、気に入らない。
見ていて、心がほっこりするどころか、寒々しい心持ちがする。
またひとつ、買う物ができたと考えると、余計に寒々しく、
鼻の頭も、いよいよ寒えてきた。

【天候】
朝から昼にかけて、快晴。
午後から雲が垂れ込め、一時雨。
夜半にはまた晴れ、雨が気温を一気に下げた所為か、街に透明感。