今朝は冷えて、前橋市では初氷を観測した。
寝床から這い出すのが、日を追う毎に億劫になってくる。
それでも、意を決して、掛け布団を跳ね除け、窓のカーテンを一気に空ける。
空けた瞬間の、朝日が部屋に注いで、満ちて行く、あの透明な空気感は、
とても清々しい。
清々しい。
のだが、今朝はちと、異変が起こっていた。
朝の清浄な空気を深呼吸した瞬間、微かに鼻腔に感じる、異臭。
麻薬捜査犬の如く、くんくん、くんくん、と部屋の中の臭いの発信源を、
捜査して行く。
どうやら、物の在処は、この蜜柑箱の上に、無造作に乗せられている、袋らしい。
袋を手にとって、中に鼻を突っ込んで、大きく息を吸う。
そこが、犬と人間の違いで、かかる危険を察知できなかった。
鼻から雪崩れ込んで来た臭いは、強烈な腐臭。
烏賊の塩辛をレンジでチンしたら、こんな臭いがしそうである。
つまりは、瞬時に吐き気を催す生臭さ。
袋に印字してある店名を見ると、合点が行った。
中身は、先日行ってきた湯河原、その駅前の土産屋で購入した、小鯵の干物。
干物なので、冬場の常温で大丈夫だろうとタカをくくり、
部屋の隅にほっぽらかしてあったのだった。
今週末に、おそらく仲間内で飲む事になるであろうから、
その際に持参しようと考えていた。
が、甘かった。
冬場とは言え、部屋の中は温暖。
その室内温度によって、腐敗してしまったのだろう。
それにしても、一気に嗅いだ匂いの、強烈な事。
体が、完全に受け付けないと言うサインを、鳥肌と吐き気で出している。
臭いを思い出しただけでも、胸やけするが、
未だそこに置いてある袋の中身を想像するだけで、背中に寒気が走る。
【天候】
終日、空気の澄んだ、穏やかな冬晴れの一日。