1125声 公魚を信用すること

2011年01月29日

部屋の中に居るのだが、指がかじかんで、
キーボードを打つ手が、ままならならない。
それほど、冷え込んでいる、今は、夜半。

この寒い時期に、極寒の榛名山を登って行く人たちがある。
公魚を狙う、釣客である。
ここ数年、温暖化の影響によって、榛名湖の結氷が足りず、
群馬の風物詩となっている、湖上公魚釣りが解禁されずにいた。
それが今年、上手い具合に結氷し、待ちに待った、公魚釣りの解禁。
と言う運びになり、大いに賑わっているらしい。

関係者に聞くところによると、その氷の厚さ。
一昔前に比べると、随分と薄い、のだと言う。
私も先輩方から話を聞くと、冬は公魚釣りとスケートで、
湖上を埋め尽くさんばかりの人出だった、と言う。

古い本で読んだのだが、その昔、公魚が肺病、つまり結核に効く。
てぇのが、広く世間に言われていたらしい。
結核が不治の病だった、当時。
冬になると、この榛名湖の公魚を食べて、伊香保で湯治をして体を癒す。
と言う、お客さんで随分と賑わっていたらしい。
もっとも、病人なので、街場の活況とは、少し違うだろうが。

私などむしろ、公魚釣りに出掛け、湖上のテントに一昼夜居たら、
その寒さで、肺を病んでしまうそうである。
そう言う事を、行きつけの床屋のおやっさんに話すと、
「いやぁ、テントん中はねぇ、中々、あったかいもんですよ」
なんて言うが、一向に信用できない。

結氷した榛名湖畔を思い浮かべるだけで、背中に寒気が走る。
だけれども、床屋のおやっさん曰く。
一度、湖上で自分の釣り上げた公魚を、そのまま素揚げにして食べる。
その美味なる味わいを堪能したら、止められない。
のだと言う。
なんて言うが、それも、一向に信用できない。
しかし先程から、一向に、部屋も温まらぬ。

【天候】
終日、快晴なれど、午後からからっ風吹き、とても寒し。