1173声 魔物の類

2011年03月18日

計画停電になり、家で座していても寒いだけなので、
外へ散歩に出掛けた。

午後7時。
裏の田圃へ出いてみると、遠くに灯が見える。
遥かなあの紅い光の明滅は、おそらく、山裾の鉄塔群。
手前に見える大型ショッピングセンターは、どうやら、電源あるらしく、
微弱な光で営業している模様。
車の光が、次々に吸い込まれて行く。

今宵はほぼ満月。
朧月夜と言った風情である。
町の灯が消えている所為か、潤む様な星の瞬きが綺麗に見える。
俳句を詠むには、電力を必要としないので、吟行の心持で出掛けたが、
何せ寒い。
おまけに、花粉症で、目も鼻もぐずぐずな状態。
とても詠める状態になく、一句もメモ帳に書かず、
闇雲に真っ暗な田圃の畦を歩き回って、帰宅した。

時計を覗く。
およそ、1時間半も歩き回っていたらしい。
家の中も、真っ暗な世界。
しかし、住居の中、と言うだけで安心できる。
さっきまでの、田圃の真中にいた時は、暗闇が疑心暗鬼にさせるので、弱る。
遠くの深い闇の中から、獰猛な大型犬の如き、魔物の類が出てきて、
追いかけられたら。
などと、よからぬ妄想が膨らんで行く。
幸い、魔物の類には出くわさずに帰れた。

家のドアを開ける頃には、月は大部、天心に近づいており、
その周りに、大きな光の輪が出来ていた。
そうこうしている間に、停電が終了し、音もなく、部屋が明るくなった。

【天候】
終日、晴れ。
夕方より雲多し。
計画停電、午後6時40頃から午後8時40分頃まで有り。