計画停電になり、家で座していても寒いだけなので、
外へ散歩に出掛けた。
午後7時。
裏の田圃へ出いてみると、遠くに灯が見える。
遥かなあの紅い光の明滅は、おそらく、山裾の鉄塔群。
手前に見える大型ショッピングセンターは、どうやら、電源あるらしく、
微弱な光で営業している模様。
車の光が、次々に吸い込まれて行く。
今宵はほぼ満月。
朧月夜と言った風情である。
町の灯が消えている所為か、潤む様な星の瞬きが綺麗に見える。
俳句を詠むには、電力を必要としないので、吟行の心持で出掛けたが、
何せ寒い。
おまけに、花粉症で、目も鼻もぐずぐずな状態。
とても詠める状態になく、一句もメモ帳に書かず、
闇雲に真っ暗な田圃の畦を歩き回って、帰宅した。
時計を覗く。
およそ、1時間半も歩き回っていたらしい。
家の中も、真っ暗な世界。
しかし、住居の中、と言うだけで安心できる。
さっきまでの、田圃の真中にいた時は、暗闇が疑心暗鬼にさせるので、弱る。
遠くの深い闇の中から、獰猛な大型犬の如き、魔物の類が出てきて、
追いかけられたら。
などと、よからぬ妄想が膨らんで行く。
幸い、魔物の類には出くわさずに帰れた。
家のドアを開ける頃には、月は大部、天心に近づいており、
その周りに、大きな光の輪が出来ていた。
そうこうしている間に、停電が終了し、音もなく、部屋が明るくなった。
【天候】
終日、晴れ。
夕方より雲多し。
計画停電、午後6時40頃から午後8時40分頃まで有り。