1176声 心地好い、揺れ

2011年03月21日

次の列車まで、丁度、2時間。
何時まで見つめていても、自動改札機の上にある、電光掲示板の数字。
こちら側の意を汲んでくれる気配もなし。

じゃあ、バスだ。
てぇんで、新前橋駅を飛び出して、駅前ロータリーに停車していたバスに、
闇雲に飛び込む。
バスは前橋駅に到着して、人気の無い、前橋駅前で仕切り直し。
目指すは伊勢崎駅前なのだが、バスも電車も、やはり2時間後。
おそらく、目指すべき場所で、聞くべきはずの、歌は歌われているだろう。
憔悴しきって、やがて、やけっぱちになって、駅前の居酒屋で、
悔恨の念に潰されそうになりながら、時間を潰していた。

地震の影響で、両毛線の間引き運転。
その情報を掴めなかった私に、非がある。
前日、高崎線で都内へ出掛けていたので、その感覚でいた事が原因。
都内も、節電していて灯りが少なく、おまけに人出は随分と少なく、
いつになく落ち着いた雰囲気だった。
そんな折、上野公園では、寒桜が咲いており、着実に訪れている春を感じた。

2時間経って、席を立って、千鳥足を急がせた。
ほのじへ着くと、やや宴もたけなわに近づきつつあったが、
今日は、キャンドルナイト。
ともし火揺らぐ薄暗い店内、隅っこの席へ紛れ込んで、缶麦酒をあけた。
幸いにして、いや、とてもありがたい配慮で、歌も聞けた。
いいものはすべからく、圧倒的である。
結局、その日は帰れず、と言うか、途中で自ら、
時間感覚など放擲して、飲みかつ話し込んでいた。

翌朝起きて、金の勘定。
勿論、昨夜集まった東日本大震災義援金の、である。
かなり、まとまった金額が集まっており、いささか驚くと共に、
伊勢崎の人たちの素晴らしさを、思った。

また、時刻も疎らな電車に乗って、どうにか帰路に着いた。
なんだか、まだ、昨夜から、胸の奥底が揺れているような心持がする。
余震が続く、大地の揺れは、心地悪い、揺れ。
私と同世代の彼と彼女の歌の、振動による揺れは、心地好い、揺れ。

【天候】
朝は雨が残るが、次第に回復。
終日、煙の充満するかの如き、曇り空。