次の列車まで、丁度、2時間。
何時まで見つめていても、自動改札機の上にある、電光掲示板の数字。
こちら側の意を汲んでくれる気配もなし。
じゃあ、バスだ。
てぇんで、新前橋駅を飛び出して、駅前ロータリーに停車していたバスに、
闇雲に飛び込む。
バスは前橋駅に到着して、人気の無い、前橋駅前で仕切り直し。
目指すは伊勢崎駅前なのだが、バスも電車も、やはり2時間後。
おそらく、目指すべき場所で、聞くべきはずの、歌は歌われているだろう。
憔悴しきって、やがて、やけっぱちになって、駅前の居酒屋で、
悔恨の念に潰されそうになりながら、時間を潰していた。
地震の影響で、両毛線の間引き運転。
その情報を掴めなかった私に、非がある。
前日、高崎線で都内へ出掛けていたので、その感覚でいた事が原因。
都内も、節電していて灯りが少なく、おまけに人出は随分と少なく、
いつになく落ち着いた雰囲気だった。
そんな折、上野公園では、寒桜が咲いており、着実に訪れている春を感じた。
2時間経って、席を立って、千鳥足を急がせた。
ほのじへ着くと、やや宴もたけなわに近づきつつあったが、
今日は、キャンドルナイト。
ともし火揺らぐ薄暗い店内、隅っこの席へ紛れ込んで、缶麦酒をあけた。
幸いにして、いや、とてもありがたい配慮で、歌も聞けた。
いいものはすべからく、圧倒的である。
結局、その日は帰れず、と言うか、途中で自ら、
時間感覚など放擲して、飲みかつ話し込んでいた。
翌朝起きて、金の勘定。
勿論、昨夜集まった東日本大震災義援金の、である。
かなり、まとまった金額が集まっており、いささか驚くと共に、
伊勢崎の人たちの素晴らしさを、思った。
また、時刻も疎らな電車に乗って、どうにか帰路に着いた。
なんだか、まだ、昨夜から、胸の奥底が揺れているような心持がする。
余震が続く、大地の揺れは、心地悪い、揺れ。
私と同世代の彼と彼女の歌の、振動による揺れは、心地好い、揺れ。
【天候】
朝は雨が残るが、次第に回復。
終日、煙の充満するかの如き、曇り空。