一夜明けて、16日記。
「みてみて」
小さな手の中で、息づいている蛍火。
友達二人が覗き込むと、掌からゆったり飛翔して行く蛍。
追いかけて、追いかけて、飛び跳ねながら、追いかけて。
向こうの闇へと、消えてゆく、子供たち。
蛍の沢へ行くと、毎年、こんな光景を見掛ける。
それは、日本全国、どこへ行っても同じだろう。
子供と蛍。
てぇのは、かけがえのない里山の夏風景である。
前橋市のどん詰まり。
と表現すると怒られそうだが、実際にそうなのだから、
殊更、怒られる事を恐れずに、訂正は加えない。
そのどん詰まりの、更に奥の、細道に、一本の沢がある。
毎年ここで、蛍が飛ぶ。
「ホタルの里」
と言う、近隣住民の方々が、手塩にかけて育てた蛍沢、なのである。
ここ数年、毎年出かけては、俳句などを幾つか認めて来るが、
昨日は、近隣の俳人が集い、蛍句会と相なった。
長袖で丁度良いくらいの気温だったので、蛍は飛ぶのだろうかと、
いささか心配した。
しかし、日暮れ時になると、数え数えではあるが、草むらに火が点き始めた。
乱舞。
とまでは行かないが、今年も、幽玄な蛍の火を、鑑賞できた。
慌てて、真っ暗闇の中、当てずっぽうで、ペンを走らせ、句を認める。
他の参加者はみな、携帯電話に句を書き留めている様子。
そんな光景に、時代を感じてしまった。
近所にある主催の家へ戻って来て、十句投句でさて句会。
私は、先生から特選を頂いたものの、まずまずと言った結果。
蛍から授かった様な一句は出来なかった。
「これ、ちょっといい句だろ」
私の背中をのっそり歩いていた猫に、句を書いた短冊をこっそり見せる。
「どれどれ、ふん」
そっけなく首をかしげて、大きなお尻を振りながら、行ってしまった。
句会が終わって、帰る頃には、すっかり夜も底辺り。
蛍の光を全て吸い込んだかのような、大きくて太っちょな満月が浮かんでいた。
【天候】
日中は晴れて蒸し暑し。
夜になると、涼しい風が吹き、長袖で丁度良いくらい。

Copyright 2007-2026 Crane Dance. All Rights Reserved.