1440声 寒夕焼

2011年12月11日

「沁みる」
二日酔いの、良く晴れた朝は、殊にそう感じる。
外に出る気力も無く、日がな、本を読み暮らしていた。

夕方になってから、手紙を投函する為、自転車で近所のポストまで出掛けた。
ポストが在るのは商店の駐車場で、切手を買うために、商店へ入った。
店内には、御婆ちゃんが、大きな樽に白菜を漬けていた。
「国府白菜」と言う地の白菜であろう。

切手を頼むと、前掛けで手を拭いて、錆の浮き出た小箱から古びた切手をくれた。
レシートも出ないレジに小銭を入れると、御婆ちゃんはまた、
白菜に塩を振る作業にもどった。

店を出てポストに投函し、家路へとついた。
日が傾いて、風がいよいよ本格的な寒さを運んで来ていた。
帰り際、コンビニで缶麦酒を買った。
暖房の効いた部屋に居て、あの甘い国府白菜で一杯やったらさぞかし美味いだろうな。
そんな事を思い浮かべつつ、ペダルを漕いだ。
寒夕焼に、山は群青の影になって、一面の枯野は金色に輝やいていた。

【天候】
終日、冬日和