1808声 漂泊の思ひ

2012年12月18日

地方都市へ行き、寂れた商店街の片隅にある赤提灯の暖簾をくぐる。
二三軒はしごして、ビジネスホテルにでも泊まって翌日にはまた別の都市へ。
そんな一人旅への欲求が、時折、顔を出す。

初めて泊まりがけの一人旅をしたのは、確か中学生の時だった。
高校生の夏休みには、青春十八切符を握りしめ、
暇があれば一人でふらふらと、列車を乗り継いでいた。
そんなことを聞いた、当時の大人に、「自立願望の顕在化の云々」とか何とか。
俄か精神科医のような分析をされたことがあった。

その時、「そんなことじゃない」と、思った事を覚えている。
同時に、芸の無い分析だとも思った。
上手くは説明できないが、芭蕉で言うところの
「そぞろ神の物につきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取もの手につかず」
と言った具合であろう。
やはり、芭蕉は芸達者である。

【天候】
終日、北風強くも冬晴れ。